今回ご紹介する「三田会にゆかりのあるSCIENTIST in Singapore」は、豊田健太郎(とよだけんたろう)さん。2011年に理工学部で学士、2013年に修士、2016年博士号を取得し、2019年に来星。現在、ASTAR (Agency for Science, Technology and Research)のIHPC (Institute of High Performance Computing)にて、Blockchainやfintechを専門分野として研究されています。ASTARは、日本の科学技術振興機構に相当する、シンガポールの科学技術研究の最高峰の国立機関にあたります。そんな豊田さんに、先日取材チームが、A*STARのIHPC研究所があるFusionopolis(One Northビジネスパーク)にて、ランチをしながらお話を伺ってきました。Agency for Science, Technology and Research (A*STAR) (a-star.edu.sg)Kentaroh Toyoda - Google Scholar豊田さんは、博士課程卒業後、最初慶應義塾大学教員としてのアカデミアのキャリアを進みましたが、より国際的に活動したい意向からシンガポール最高峰の国立研究機関ASTARに就職。ASTARにて4年ほど勤務されていますが、現在所属するIHPCには他に日本人は在籍していないとのこと。日本はコンピュータサイエンスに強いので、数人は日本人がいると予想されていたそうです。研究環境としては、給与も、日本に比べてはるかに高く(円安の影響もありますが)、研究資金や研究施設の充実度も高く、研究成果への研究者の対価(ライセンス収入など)もクリアとのこと。ただ、日本にて、昨年から、岸田内閣が科学技術立国を成長戦略として位置づけ、世界レベルの研究を担う大学を支援する10兆円のファンドを確保したり、博士課程学生に対する経済的支援及びキャリアパス整備するなど、研究大学における研究力を抜本的に強化していく方向性も注視しているとのこと。日本人の研究者の多くは、研究に没頭するなかで、英語をはじめとした語学力が必要なグローバル市場でのキャリアよりも、国内でのキャリア志向が強いなか、豊田さんがシンガポールベースでのキャリアをスタートにいたった背景をお聞きしたところ、きっかけは、博士課程での研究室半分位が外国人で、既にグローバルな研究環境であったことや、また自分が執筆して公表した論文を読んだ、ドイツや中国をはじめとした海外の研究者から共同研究やメンターシップの依頼を受け、定期的にコミュニケーションを重ねてきたことにあるようでした。豊田さん、取材どうもありがとうございました!三田会にゆかりのある〇〇 in Singaporeで、こんな方を取材してはというアイデアがありましたら、取材チームまでご一報下さい。取材チーム(アイウエオ順)今泉寛(Lead)、酒井祐輝、田代いくえ、常木佳子、新村博道、宮本敬太